額は養育費算定表を目安に
実際の養育費の金額については、夫婦(代理人)間で話合いをし、話合いで決まらなければ離婚調停において金額や支払方法を協議します。もし、調停で話合いをしても決着がつかないときは、審判で(離婚訴訟と同時にであれば離婚訴訟の中で)裁判官に決めてもらうことになります。金額については、支払う側(義務者)・もらう側(権利者)の収入、負担能力などを考えて決めていきますが、そのために多くの資料をそろえる必要があり、算定に時間がかかります。そこで、多くの場合、義務者・権利者の収入、子どもの人数、年齢に応じて標準的な養育費を算出できるようにした「養育費算定表」を使うことになります(167〜175ページ参照)。話合いで合意ができれば、養育費算定表の金額以上をもらえることもできます。養育費は、原則として別居後請求した時点からしかもらうことができ、それより過去にさかのぼって請求することはできません。また、養育費が請求できるのは原則として子どもが20歳になるまでですが、個別に両親の学歴などの家庭環境や資力を考慮して定めることもでき、たとえば、大学卒業までと考えるのであれば「未成年者が満22歳に達した後の最初の3月まで」などのように定めることもできます。養育費の支払は、月払が原則ですが、当事者間の合意があれば、一括払とすることもできます。ただ、一括払とした場合、贈与税が課されることもありますので、事前に税理士等への相談が必要な場合もあるでしょう。養育費が支払われない場合、家庭裁判所から支払をするよう相手方に勧告・命令をしてもらえますが、強制力はありません。相手方が任意に支払をしてくれない場合は強制執行を行う必要があります。離婚調停や離婚審判等で取り決めた場合はもちろん、養育費について執行認諾文言付きの公正証-書を取り交わしている場合には、別途裁判をすることなく強制執行をすることができます。